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タイ・究極のウェルネスリゾート「チバソム・インターナショナル・ヘルスリゾート」(ホアヒン)を訪問

2022.08.2

バンコクから車で南西へ約200キロ、プラチュアップ・キリカン県にあるホアヒンは、日本ではそれほどメジャーな存在ではありませんが、古くからタイ王室の保養地として知られるビーチリゾートです。タイランド湾を挟んで対岸にあるパタヤとは全く趣が異なり、落ち着いた雰囲気ですので、喧騒から離れてビーチで静かに過ごしたい時にはおすすめな場所です。

そのホアヒンで以前から気になっていたホテル「チバソム・インターナショナル・ヘルスリゾート」をこの6月上旬に訪れてみました。なぜ気になっていたのかというと、このホテルがタイにおけるウェルネスリゾートの先駆け的な存在として知られ、俳優やモデル、スポーツ選手など世界中にファンを持つデスティネーションスパ(目的達成型のスパ)のパイオニアだと聞いていたからです。1995年に開業、2019年に大規模リニューアルを終えているこのリゾート「チバソム」の名は、タイ語で「くつろぎの隠れ家」という意味だそうです。

深夜に羽田空港を発ち、バンコク・スワンナプーム空港に到着したのが早朝5時。今は入国もスムーズになり、飛行機を降りてから30分程度で事前手配していたタクシーと合流、空港からは約3時間でホアヒンに到着です。ホテルではオプションでリムジンまたプライベートジェットでの送迎も可能とのことです。チェックイン手続きは緑の木々や池のある中庭を望むラウンジに座って、冷たいハーブティーを頂きながら。抗体検査を受けて結果を待つ間に、手渡された問診票を記入します。(抗体検査は2022年6月現在の情報です)

 

 

チェックインも終え、部屋で少し寛いだあとに、午後からは自然療法士の資格を持つウェルネスアドバイザーによるカウンセリングが行われます。持病があるかどうか、普段の食生活や運動、生活習慣はどうか、心身のどこを改善したいのか、治したい病気はあるのか等々。スパ・ウェルビーイング、免疫改善、睡眠改善、アンチエイジング、デトックス、持続可能な減量など多数あるプログラムのうち、どれかに決めた上で、そのプログラムに合った各種クラスに参加するというシステムです。ちなみに各種クラスは、ブートキャンプ、各種ヨガ、太極拳、ピラティス、水中エアロビ等体を動かすものだけでなく、瞑想やフラワーアレンジメント等、心を整えるものまで約50種類もありました。1泊と短い滞在ではありますが、私はメタボが気になって久しいので、「持続可能な減量」プログラムを選びました。ちなみに通常は最低3泊、多いのは5泊~2週間、長い場合で1か月以上滞在されている方もいらっしゃるようです。カウンセリングを経て、マッサージと鍼灸に加えて朝のストレッチクラスに参加するよう勧められました。

またこのカウンセリングは、単に滞在中のクラスだけでなく、普段の食事や生活習慣全般についてのアドバイスも得られます。個人的な問診とカウンセリングですので、内容は本人のみに該当しますが、参考までに私が受けたアドバイスはこうでした。まず減量やアンチエイジングのために、食事面では、朝は好きなものを食べてOKだが、昼と夜の食事は、炭水化物は全粒穀物(玄米や全粒粉のパン等)とタンパク質を摂ること。間食するならチキン、ナッツ、キュウリを少しずつ。一日に2,3リットルの水を飲むこと。運動面では、息がきつくなる程度の運動を毎日35分以上。その他には花粉症等アレルギー対策として、納豆、キムチ、味噌汁、ギリシャヨーグルト等、腸内の善玉菌を増加させる食品のいずれかを毎日摂ることを勧められました。ちなみに問診とカウンセリングは英語になりますが、リクエストをすれば事前に日本語の資料をもらうことができます。

帰国後一カ月、このカウンセリングに従って生活していますが(できているのは50~70%程度でしょうか)、体重も少しずつ落ち、ドカ食いがなくなり、寝つきや寝起きがよくなった気がします。今まで時々ダイエットや運動に挑戦することはあっても長続きしませんでしたが、今のところ続けられているのは、チバソムのカウンセリングできちんと説明を受け、自分の改善点を納得しているからなのかもしれません。今度こそは持続可能な減量になればと期待しています。

チバソムの食事に使われている食材は、基本的には直営のオーガニック菜園で栽培している有機野菜、ハーブ、果物を使用しているそうです。また動物性食品の使用を制限することで、一人一人の健康面の改善だけでなく、家畜の温室効果ガスによる地球温暖化への対策としているとのことです。宿泊時にはこのようなポリシーの食事が3食提供されるオールインクルーシブとなります。

翌朝、ホテル内の海沿いにあるレストラン「Taste of Siam」に出かけました。屋外の海が見える席に座り、ホアヒンの静かなビーチを眺めながらの朝ごはんはとても気持ちがよく、心身ともに癒される気分になります。日差しが強く暑くなってきたので、屋内に移動して食事を続けようとしていたところ、「外はちょっと暑いですね、お食事はいかがですか、Fさま」と私の名前を呼びかけながら、パナマハットの似合うダンディーなタイ人男性が近づいてきました。支配人のワイパンヤー・コンクワンユーンさんです。部屋数が50あまりしかないとはいえ、宿泊客の名前と顔を把握しているプロフェッショナルさに驚きました。

朝食後に、チバソムで鍼灸師として働いている日本人男性の橋本聡さんにお会いできました。橋本さんの鍼灸は井穴刺絡(せいけつしらく)という、手足の爪の近くのツボと刺激することで自律神経を介して、筋肉や神経の痛みやアレルギー症状を改善する処方です。持病に加えて肩が上がりにくいこと、花粉症が年中起きることを伝えると、施術を受けながら、帰国後の普段の生活での対処方法も丁寧に教えて下さいました。橋本さんは日本で鍼灸師の免許を取って修行し、カリブ海やバリ島など海外のリゾートを渡り歩いた後に、このチバソムで働いているそうです。チバソムが他のスパリゾートと違っているところは、様々な分野の専門家が集まっており、インド、中国、日本、ヨーロッパ等、東西医学のいいところを、それぞれの人に合ったオーダーメイドのトリートメントで心身ともに高い健康レベルを維持することだそうです。今まで世界のリゾートを渡り歩いてきた橋本さんですが、今お住まいのホアヒンはバンコクやパタヤに比べるととても落ち着いた雰囲気で、時間がゆっくり流れているそうです。また雨季でも雨が少ないのも特徴とのこと。チバソムに訪れるお客さんは欧米が多く日本人はまだ少ないですが、橋本さんが勤務されていて時間が空いている場合は、日本語でのお手伝いも可能とのことです。

短い滞在でしたが、橋本さんの施術が終わるとチェックアウトです。バンコクへのタクシーに乗ろうとすると、再び支配人が登場。「日本のお客様もスタッフ一同お待ちしております」とおっしゃられ、握手でお別れしました。名残惜しい帰りのタクシー車中で、他の宿泊客の方が言っていたことを思い出しました。「宿泊費は安くはないが、誰にも邪魔されず、自分が好きなクラスに一日中自由に参加できる。何よりも、チバソムの食事や生活スタイルを家に帰ってからも継続して活かせる。だからトータルで考えるとコストパフォーマンスが高いと思う」。あらためて納得しました。チバソムのポリシーやトリートメントは、年齢的には40~50代以上の方が対象ですが、自分の心身の健康について問題を抱えている方だけでなく、ちょっと気になることがある程度、あるいはあらためてご自身の健康だけでなく、心や精神も含めたライフスタイルをトータル的に見つめなおしてみたい、と考えたことがある方にはお勧めしたいと感じました。私自身もコロナ禍に入ってから心身の健康について考えることが以前よりも増えており、個人的にも有意義な訪問となりました。

今回の訪問で心残りなのは、リゾート内で写真を思うように撮れなかったことです。チバソムではデジタルフリーとプライバシー保護の観点で、自室以外でのカメラやスマホ等デジタル機器の使用を基本的に禁じており、今回もスタッフの許可を得て特別に撮影をしています。逆に言うと、宿泊客はプライバシーが守られ、落ち着いて滞在できるということでしょうか。

 

ホアヒンから約1時間、バンコクに戻る途中のペッチャブリー近くにあるカオルアン洞窟に立ち寄ってみました。洞窟といっても階段を下りて先に進むと上部が裂けており、そこから空が見えています。岩の裂け目から入る光のカーテンがチュラロンコン大王が作らせたといわれる黄金の仏像に当たる様がとても神秘的です。ここで古くから瞑想が行われていたというのも納得です。ホアヒンに行く際には立ち寄られることをお勧めします。またもう少しバンコク寄りには、線路上の市場で有名なメークロン市場や、アンパワー水上市場もありますので、併せて立ち寄りポイントにすると旅のバラエティーさが増してよいかもしれません。